当クリニックは治療指針でも触れましたように、アレルギー科を標榜していることからアトピー性皮膚炎の患者さん、アレルギー検査(血液検査・パッチテスト)を希望される方が数多く受診されます。具体的な診療状況につきましては下記の通りですのでご参照ください。
アトピー性皮膚炎では保湿剤を中心とした(弱いステロイドの)治療で軽快する軽症例が小児期には多いものの、アレルギー素因がある場合、治療が不十分な場合、重症の場合には症状を改善させるために適切な治療の継続、反復、悪化因子の検索・除去が必要となります。原則としてアトピー性皮膚炎診療ガイドラインに準拠した標準治療を遂行しています。
アレルギー診療では検査をやみくもに行なっても原因にたどり着くことはほとんどありません。(口腔アレルギー症候群、花粉-食物アレルギー症候群、小麦依存性運動誘発アナフィラキシー、ラテックスアレルギーなどに関連して)頻度の高いアレルゲン、特徴的な症状がいくつかありますので、先ずはそこからチェックします。患者さんからの情報(詳細な問診)が原因検索には最も役立ちます。
A.アトピー性皮膚炎の治療
1.病状の把握
皮疹の正しい評価を行ないます。特に皮膚の乾燥と湿しん病変を正しく見極めて適切な治療につなげます。
2.適切な外用療法の指導(保湿剤を含めて)
外用剤の使用量が足りないために症状が改善しないことが多いため、FTU(フィンガーチップユニット)を用いて実際の外用剤の使用量のチェックと外用の指導を適宜行ないます。
3.悪化因子の検索
a.詳細な問診による生活習慣上の悪化因子の検索
石けん、シャンプー、洗剤、衣類、汗、ストレス、ひっかき癖など生活習慣が悪化因子になることがあるため症状の改善が見られない例では詳しく問診します。
b.血液検査
必要に応じて乳幼児期の食物アレルギーの確認、成人重症例では悪化因子の検索目的などで行ないます。重症例、治療が不十分な例ではTARCを指標として測定します。
尚、近年乳幼児期の食物アレルギーはアトピー性皮膚炎の原因ではなく、アトピー性皮膚炎がきっかけで起こるのではないかと考えられています。
c.パッチテスト
金属アレルギーの合併も多く、シャンプーかぶれなどもよく見られるため必要に応じて適宜検査を行ないます。
B.接触皮膚炎(かぶれ)の原因検索
症状・経過と問診から原因を推測します。原因が推測される場合には除去もしくは(必要に応じて)原因(試薬)を用いてのパッチテストを行ないます。原因の見当がつかない場合にはスタンダードシリーズのパッチテストを行ないます。
C.アレルギー診療(特に血液検査)について
保険診療では(問診・診察で)アレルギー検査が必要と思われるケースに限定して実施します。また、アレルギーに関してご質問がありましたら何でもお答えしていますのでご遠慮なくご相談ください。
概要につきましては下記をご参照ください。
〇アレルギーを疑わせる症状の有無の確認
a.アレルギーを疑わせる症状あり
詳細な問診から必要な検査を実施します。スクリーニングとして多項目の検査を希望される場合には自費にて実施することができます。
尚、症状を診察時もしくはご持参の写真で確認します。食物依存性運動誘発アナフィラキシー、口腔アレルギー症候群、花粉-食物アレルギー症候群などでは詳細な問診と血液検査から診断(原因)を確定(特定)できます。
b.アレルギーを疑わせる症状なし
患者さんが検査を希望される場合には自費で検査をすることができます(保険では不可)。
診察時に(アレルギーを疑わせる)症状が確認できない場合には保険診療で検査は行なえません(自己申告のみでは不可)。じんましんでは、症状確認のためにスマホで写真を撮って持参していただいても構いません。
尚、保険診療で検査を行なえない場合にはアレルギーの可能性が低い理由をその都度ご説明しています。
テレビの情報バラエティーを見て、アレルギーが心配で調べてほしいと言って受診される方がいらっしゃいますが、アレルギーを疑わせる症状の確認ができませんと検診扱いとなり保険外(10割負担)となります。
皮膚科の医療費としては高額(※参照)になりますのでご留意ください。
※39項目のアレルギーを調べるViewアレルギー39にかかる費用は18970円です。内訳は、初診料2880円、採血料350円、判断料1440円、Viewアレルギー39検査料14300円となっています。
また、患者さんが1項目~13項目まで選んで調べることもできます(費用は5770円(1項目)~18970円(13項目))。(2021.2月現在)
当クリニックでの検査料金は診療報酬改定ごとに変わります。また、保険外診療につきましては病院ごとで料金設定が異なりますのであらかじめご了解ください。
尚、アトピー性皮膚炎、じんましん、かぶれ、食物アレルギー、金属アレルギー、アレルギー検査・パッチテスト希望 のいずれかで受診される方にはそれぞれ問診票を別途ご用意していますので、ご来院の際には窓口にてお申し出ください。