当クリニックはアレルギー科を標榜しているためアレルギー検査を目的に受診される方が多く見られます。アレルギー症状が見られる方やアレルギーかどうかの鑑別が必要な方、またアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の患者さんでは問題なく保険診療(=一般の方は3割負担)でアレルギー検査を行うことができます。
ところが、アレルギーを疑う症状が何もないにもかかわらずアレルギーかどうか調べてほしいと言われることがあります。これらの検査を行うことは人間ドックや検診と同じで保険診療の対象とはなりません。従って、検査を行う場合には費用を全額お支払いいただかなければなりませんが、保険診療で検査を行うことができるものと思い込んでおられる方がほとんどです。
特に最も困るのは経過の長いじんま疹の患者さんが原因検索を目的に受診された場合です。薬を飲む治療だけで、症状がなくならないため何とか原因をつきとめて治したいと願う患者さんのお気持ちはよくわかります。しかし、じんま疹の原因がアレルギーによる場合は数パーセントにすぎず、しかもアレルギー検査の項目は数多くあり特定の検査で原因を見つけだすことはほとんど不可能です。従って、患者さんから検査を希望された場合でも実際に検査を行うのは問診などでアレルギーの関与が疑われるケースに限られます。
もう一度まとめますと、医師が必要と考えて行うアレルギー検査は保険診療で行えますが、医師が必要と認めない場合でも患者さんがどうしてもアレルギー検査を行いたい場合には全額負担で実施することができます。その場合にご注意いただきたいことは、混合診療の禁止よりアレルギー検査以外に医療行為があった場合にはアレルギー検査以外の診察料、処置料、薬代などもすべて全額負担となることです。
実際に外来でアレルギー検査を希望される方に対して、患者さんが込み合っている場合にはこのような説明をその都度十分にできないことがあり、その場合には結論のみで対応せざるを得ません。患者さんに少しでも納得していただくためにこのような記事をご参照いただければと思います。