先だって地元のあるラジオ番組でリスナーからの投書で、子どものアトピー性皮膚炎である医者にかかったところ子どもへの対応が不十分で親として納得がいかなかったといった内容のものがありました。そのリスナーの知人ならびに番組担当の医師の意見としては、「その医者はあなた方にとっては名医ではなかったということですね」といったものでした。
アトピー性皮膚炎の子どもさんを診る機会も多いので、ひょっとして自分のところに来られた患者さんではなかろうか!?と脳裏をよぎりました。このケースの事情はよくわかりませんが、外来では診察に抵抗する元気のよい子どもさんに遭遇することはめずらしくありません。そうした場合実際の対応としては子どもさんを刺激しないようにして診察を円滑に進めることを考えます。小さなお子さんでこちらが見ると泣く場合や何度かお話ししても変わりがない場合には、子どもさんとは目を合わさず親御さんとだけやりとりをする場合もあります。目を合わさないということは、怒っているとか、冷たいとかいった印象を相手に与えますし、親御さんには納得がいかないと思われることもあるだろうなとも思います。わざわざ当クリニックを選んで来ていただいた患者さんに対して全くそのような心づもりはないのですが・・・。
このような場合の一番の名医とは、子どもをおとなしくさせたり、診察を嫌がる理由を聞いたりして上手く対応できる医者だろうと思います。私自身そうなりたいとは思いますが、そうした対応には人間性やいろいろな経験も必要になってきますので一朝一夕にはなかなか身に付きません。一方で、立場や見方が変わると全く違ったとられ方をすることもありますし、日頃から相手の態度に条件的に反応をしてしまいがちですので、こちらの事情も少しは分かってくれないかなとも思ったりもします。いずれにせよラジオで取りあげられた医者が自分でないことを切に願いながら、やはり患者さんには不快な思いをさせることのないように十分に注意をはらって診察を行わなければならないと反省を込めていろいろ考えさせられた番組でした。
2010/1/21