アトピー便り

アトピー便り115:アレルギー診療は問診から

暖冬と最近のインフルエンザ、新型コロナの感染流行のためか、アトピー性皮膚炎の悪化で受診される患者さんはこの時期としては比較的少ない感じがしています。皮膚のトラブルとして寒暖差が激しい時期はしもやけが出やすくなりますし、スギ花粉の飛散に伴い顔面に皮膚症状が見られることもあります。アトピー患者さん、ご年配の方の乾皮症における保湿のスキンケア、早めの治療開始とともにご留意ください。

普段は患者さんの自己申告(問診)に基づいて検査を行なってアレルギーの有無を確認しています。ある時、件のように患者さんの自己申告に基づきナッツアレルギーの検査、特にピーナッツ、カシューナッツのアレルギーコンポーネントの検査を行ないました。ところが検査はすべて陰性でした。患者さんのお話を十分に整理しないで鵜呑みにしたためでした。じんましんや呼吸困難などの明らかなアレルギー症状は確認できておらず、患者さんの食べた後に胃の調子が悪くなるという訴えだけで不用意に検査をしてしまいました。下痢症状も見られておらず、不耐症、消化不良の可能性も考える必要がありました。また直近では、たこ焼きを食べた直後に自転車に乗ってアナフィラキシー症状(救急病院受診)を起こした患者さんが来院されました。患者さんから適切な情報をいただいて、血液検査で小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの診断確定に至りました。これらのケースからも問診の大切さを改めて痛感させられました。患者さんからの情報がアレルギーの正しい診断への手がかりとなります。診察時には些細なことでも構いませんのでお気づきのこと、気になることはすべてお話いただければと思います。思いつきでも構いませんので、ご遠慮なくご相談くださいアレルギー専門医として患者さんからの情報を整理して、必要な検査へつなげていきます。尚、お話をいろいろ伺った上で保険診療でのアレルギー検査の対象とならない(検査をしない)ケースも多々ありますので、その際は何卒ご容赦ください。中には検査ありきで、どうしてもこちらの説明にご納得いただけない患者さんもいらっしゃいます。その際は保険外(全額自費負担)であれば検査することはできます。検査費だけを保険外にする混合診療はできませんし、検査の種類(CAP-RAST,View39)によって、CAP-RASTの場合検査項目の数(上限あり)によっても料金は異なります。また検査できる項目、できない項目がありますので診察時にあわせてご確認いただければと思います。
ところで、検査をしない時の対応で患者さんに不快な思いをさせたことが少なからずあるかと思いますが、他意はありませんので何卒ご容赦ください。これからも大目に見ていただければと思います。つい先日タブレットのバッテリーを交換してもらうためにK店に行きましたが、有償でもバッテリーを交換してもらえませんでした。バッテリーを交換できない理由に納得できませんでしたし、過去にも別のタブレットでも同じような対応だったこともありものすごく腹が立ちました。多分態度にも出ていたと思います。因果応報なのか、有償を自費に置き換えてみると立場を替えてアレルギー検査と同じパターンだと気づきました。検査は自費であればできるのですが・・・。きちんと説明を尽くして患者さんにご理解、ご納得いただけるようにしないといけないと身をもって感じました。
血液検査をしてアトピー性皮膚炎の診断をして欲しいと言われる患者さん、親御さんが数多くいらっしゃいますが、アトピー性皮膚炎の診断は検査ではなく、皮膚の症状、皮疹の経過、家族歴などから行ないます。皮疹の経過や家族歴は問診によりますので、ここでも問診が重要になります。血液検査をしたいということで来院されても、視診(触診を含む)ならびに問診で必要ないと思われた場合には検査はしていません。そのため当クリニックでは検査をしてもらえないと思われてか、以前のようにアトピー性皮膚炎の患者さんで検査を要望される機会がここのところほとんどありません。経過の長い患者さん、症状の重い患者さんでは悪化因子の検索としてのCAP-RAST、皮膚症状の客観的指標としてのTARCなどの検査は治療の上でも随時必要となります。ところが検査にあたっては費用が余分にかかりますし、小児の場合採血のストレスがありますのでこちらの判断だけで一方的に行なうことはありません。検査は必要に応じて積極的に行なっていますのでお気軽にご相談ください。

2024/2/3


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