アトピー性皮膚炎の治療に関しては確実に一昔前とは考え方、対応の仕方が変わってきています。外用剤の使い方、特にステロイドの使い方が変わってきています。ステロイド外用剤の副作用を考慮して、以前は症状にあわせて必要最低限(実際は不十分)に外用剤を使用するReactive療法が主流でしたが、薬を止めた途端に悪くなったり、いつまでたっても良くならなかったりするということで、最近は良い状態を保ち続けるために外用剤を塗り続けて、漸減していくProactive療法が推奨されています。当クリニックでもついこの間まではReactive療法中心に診療を行っておりましたが、なかなか良くならない患者さん、重症の患者さんを中心にProactive療法を行う機会が増えてきています。アトピー性皮膚炎の多くの患者さんは症状が軽く、治療の内容、有無にかかわらず良くなっていくことが多いのですが、一部の患者さんでは適切な治療を行わないとなかなか良くなってくれません。
そこで、特にProactive療法を行う上で大事なことは症状を正しく見極めることです。外来でよく「皮膚が乾燥しているのですが、保湿剤では良くなりません」と言われることがありますが、実際には湿しんがすでに見られていることが多く、ステロイド外用剤を使用する必要があります。多くの患者さんでは乾燥症状だけの部分と湿しんの部分が混ざり合っており、外用剤を使い分けする必要があります。患者さん自身で適宜正しく塗り分けすることは難しいと思われますので、お近くの皮膚科専門医を受診して外用剤の具体的な使い方を相談されることをお勧めします。
*休眠状態の当コーナーでしたが、今後も不定期に随時更新していきます。よろしくお願いします。
2014/6/26