アトピー便り
◯夏期の新患、初診患者さんの多い時期からしばらく時間が経ちましたので、外来は定期的に受診される再診患者さんが多くを占めています。最近特に急に寒くなってきましたので、空気の乾燥のためにご年配の方の乾皮症やアトピーの患者さんが目立つようになってきました。早めのスキンケア、治療を心がけてください。
〇食物アレルギーは、完全除去から必要最低限の除去へ、具体的には皮膚を介して食物アレルギーが起こることを予防するために乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚症状を改善させながら食べれるものは食べていくという方針で対処されるように変わってきています。汗はアトピー性皮膚炎を悪化させるので汗をかかないようにかつては指導されていましたが、汗のうっ滞はかゆみの原因になりますが、汗自体は保湿効果が高いので、汗はしっかりとかいて、そのあと汗が残らないようにすぐにケアをするように指導されるようになりました。
〇皮膚の乾燥だけは相変わらずアトピー性皮膚炎の悪化因子であり、乳児のアトピー性皮膚炎の発症因子でもありますので、重ねて早期のスキンケア、早めの治療の重要性を強調しておきます。
2019/11/14
◯以前にもお話したことがありますが、イネ科のアレルギーがある患者さんで、食物の小麦を食べた時に花粉症の症状が強く現れるケースを診察させていただく機会がありました。レーズンパンを早朝に食べて数時間後に顔が赤く腫れたということで受診されました。当初は小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを疑い、血液検査を行なったところ、RAST ω-5グリアジンがクラス0で、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの可能性は低いものと考えましたが、同時に検査したRAST 小麦(花粉)がクラス6、小麦(食物)がクラス3、グルテンがクラス3でした。これらの血液検査の結果より、イネ科(場合によっては小麦)の花粉症の患者さんが小麦を摂取して、その直後にこれらの花粉に触れる機会があって、花粉症の症状が強く出たものと考えました。実際に朝食後から症状が出るまでの間にイネ科の植物の近くにいたことも確認できました。イネ科の花粉症は時期的に終わりに近づいていますが、埋もれているこのようなケースを少しでも明らかにしていくことができればいいなと思いました。
2019/9/9
〇先だっていろいろなフルーツを食べると毎回調子が悪くなるということで女性の方が検査を希望されて受診されました。受診時もリンゴを食べた直後でぜん息の様な症状が見られおり、リンゴは当然検査しましたが、その他にもいろいろなフルーツのアレルギー症状や花粉症の症状も見られるとのことから、花粉食物アレルギー症候群を疑ってひと通り調べました。結果、豆乳アレルギーが見つかりました。豆乳を口にすることがないので、今まで症状が見られたことはありませんでしたが、豆乳アレルギーでは重篤な症状が見られることが比較的多く、注意が必要であることを説明しました。
〇通常のアレルギー診療では問診からアレルギーが疑われた場合にアレルギー検査を行ないますが、患者さんからの情報、自己申告に基づきますのですべてのケースでアレルギーが確認されるわけではありません。
〇今回の患者さんも、当初はアレルギー症状もはっきりせず、漠然とアレルギーが心配で検査をして欲しいということでしたので保険外での検査の説明をしていたところ、ぜん息の様な症状が見られたうえに話を改めて聞いてみますとアレルギーの可能性を疑わせる情報がいくつもありましたので保険診療でのアレルギー検査を行ない、花粉食物アレルギー症候群(豆乳アレルギー)の診断に至りました。
〇アレルギーの診断には問診(患者さんからの情報)、ならびに実際の症状の確認が大切であることを再認識しました。
2019/7/26
〇子どもの手足口病が松山市でも流行しているようで、当クリニックでも診る機会が増えています。その他ではりんご病、大人の水ぼうそうも見られました。これらのうち水ぼうそうを除いて治療法があるわけではありませんが、診断の見極め、生活上の注意事項がありますので、ご心配な方は医療機関を受診されることをお勧めします。アトピー性皮膚炎の患者さんでは乾燥症状が改善され、比較的落ち着く方と汗でかゆくなる方と両方いらっしゃいます。特に経過の長い方、症状の強い方は汗のケアをしながら、しっかりと治療を続けてください。夏の花粉症がある方はフルーツなどの食物アレルギーの症状が目立ちやすくなります。気になる方はアレルギー科を受診して、ご相談の上必要に応じて検査を受けてください。
2019/7/11
〇この時期になると水いぼの子どもの受診が増えてきますが、取るか取らないかいつも問題になります。取らなくても時間が経てば水いぼに対する免疫ができて必ず治りますが、治るまでには数が増えたり、大きくなったりして、周りの子どもにもうつしてしまいます。治療はピンセットでつまみ取りますが、当然痛いので子どもにとっては堪りません。そこで痛み止めのペンレステープ®を1時間貼ってから取ると痛みがなくなって子どもの負担はかなり軽くなります。尚、治療は1回で終わることはほとんどなく、多くは何回も治療を繰り返します。
〇自然に治るまでに半年かかるか、1年かかるか、もっとかかるかは個人差がありますし、プール禁止かどうかは幼稚園、保育園、スイミングスクールなど施設によって対応も異なります。水いぼの治療については以前から皮膚科でも小児科でも意見の分かれるところで対応は病院ごとで違います。水いぼの治療においては受診される病院にあらかじめ対応を問い合わせておくのがよいと思います。
〇当クリニックでは診察時に上記の内容を説明をして相談の上で治療方針を決めています。ただし、ペンレステープ貼付での治療を行なうのは、土曜日以外、診療終了時間より2時間前までに受診される方に限定させていただいておりますのでご了承ください。
2019/7/1
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