アトピー便り

アトピー便り04:あるラジオ番組にて

 先だって地元のあるラジオ番組でリスナーからの投書で、子どものアトピー性皮膚炎である医者にかかったところ子どもへの対応が不十分で親として納得がいかなかったといった内容のものがありました。そのリスナーの知人ならびに番組担当の医師の意見としては、「その医者はあなた方にとっては名医ではなかったということですね」といったものでした。
 アトピー性皮膚炎の子どもさんを診る機会も多いので、ひょっとして自分のところに来られた患者さんではなかろうか!?と脳裏をよぎりました。このケースの事情はよくわかりませんが、外来では診察に抵抗する元気のよい子どもさんに遭遇することはめずらしくありません。そうした場合実際の対応としては子どもさんを刺激しないようにして診察を円滑に進めることを考えます。小さなお子さんでこちらが見ると泣く場合や何度かお話ししても変わりがない場合には、子どもさんとは目を合わさず親御さんとだけやりとりをする場合もあります。目を合わさないということは、怒っているとか、冷たいとかいった印象を相手に与えますし、親御さんには納得がいかないと思われることもあるだろうなとも思います。わざわざ当クリニックを選んで来ていただいた患者さんに対して全くそのような心づもりはないのですが・・・。
 このような場合の一番の名医とは、子どもをおとなしくさせたり、診察を嫌がる理由を聞いたりして上手く対応できる医者だろうと思います。私自身そうなりたいとは思いますが、そうした対応には人間性やいろいろな経験も必要になってきますので一朝一夕にはなかなか身に付きません。一方で、立場や見方が変わると全く違ったとられ方をすることもありますし、日頃から相手の態度に条件的に反応をしてしまいがちですので、こちらの事情も少しは分かってくれないかなとも思ったりもします。いずれにせよラジオで取りあげられた医者が自分でないことを切に願いながら、やはり患者さんには不快な思いをさせることのないように十分に注意をはらって診察を行わなければならないと反省を込めていろいろ考えさせられた番組でした。

2010/1/21

アトピー便り03:いつ受診すればいいの?

 時期的にアトピーの症状が悪化する方がとても多くなってきました。皮膚の乾燥を通り越して湿しんがみられていることが多いため、漫然と保湿だけのスキンケアを続けることのないようにご注意ください。
アトピー性皮膚炎患者さんの7~8割は症状が軽いものの、慢性、反復性に症状が見られますので一回の治療で終わることはほとんどありません。そのため症状にあわせて治療を続けていく必要があります。定期的に受診するのが理想ですが、いろいろな事情によりできない場合もあります。症状の見られないとき、薬が十分手元に残っているときには診察を受ける必要はありません。薬が手元に残っていても効かない場合、症状が悪化した場合には受診する必要があります。
 特に症状のひどい方は症状に応じて薬を適宜変えなければなりません。その見極めのためにも定期的に受診してください。なかにはいつもひどい状態で受診される方がいますが、治療が不十分のことが多くこまめに受診してしっかり治すようにしてください。

2009/11/29

アトピー便り02:アトピー性皮膚炎の診断について

 皮膚の乾燥とともにアトピーの症状が悪化する方が目立つようになってきました。乾燥に対するスキンケアと症状がひどくならないうちに早めの治療を心がけてください。
 アトピー性皮膚炎の診断について、多くの患者さんならびに親御さんは血液検査で行われるものと思っています。実際に重症のアトピーの方を含め多くの例でアレルギー検査が陽性になります。ところが、アトピー性皮膚炎の診断は、乾燥症状をベースに長期にわたりかゆみの強い湿しんが季節的な変動を繰り返しながら見られるという皮膚症状から行われます。アレルギー検査はアトピーの診断の参考材料であって、決め手にはなりません。
 石けん、シャンプーならびに入浴時のタオルでのこすりすぎ、衣類、洗剤などの生活習慣因子、汗や乾燥、ストレス、引っかきぐせ、皮膚に常在する細菌やウイルス、これに加えて様々なアレルギーなど、数多くのことが原因でアトピーの症状は悪くなります。つまり、アレルギー検査はアトピーの悪化因子の一部を見ているのにすぎません。
 アレルギー検査は主治医とよく相談して、必要に応じて行い有効に活用しましょう。

2009/10/25

アトピー便り01:アレルギー科を標榜したわけ

 皮膚科の扱う主要疾患の一つであるアトピー性皮膚炎の治療は、薬物療法、スキンケア、悪化因子の除去をバランスよく行うことですが、アレルギー科では悪化因子の除去が、皮膚科では薬物療法、スキンケアが中心となりがちです。当クリニックではアレルギー科を標榜することで、薬物療法、スキンケアのほかにも必要に応じて悪化因子の除去に積極的に取り組んでいるということを患者さんの多くの方に知っていただきたいという思いがありました。
 私自身、皮膚科専門医ならびにアレルギー専門医の資格を持っておりますが、皮膚科ならびにアレルギー科のすべての疾患をオールラウンドに診れるわけではありません。得意な領域とそうでない領域とがあります。手術が必要な場合には形成外科専門医に紹介しますし、喘息を治療することもありません。皮膚科専門医とアレルギー専門医を広告することで、当クリニックは皮膚アレルギーを得意領域として診療していることを示しています。

2009/9/20

外来疾患状況

 毎月1回更新を続けてきました外来疾患状況ですが、8月分をもちまして終了させていただきました。今後はアトピー性皮膚炎を中心に当クリニックの現況を 紹介したり、皮膚のアレルギーに関する様々な情報を提供したりしながら、患者の皆さんに知っていただきたいことや理解してほしいことを随時お伝えしていこ うと思います。ご興味のある方はご覧ください。
 只今準備中です。今しばらくお待ちください。

2009/8/23
 一時多く見られていた小児の手足口病は目立たなくなってきました。とびひも例年に比べて重症例は少なかったようです。
 汗の影響する皮膚疾患、具体的にはあせも、金属アレルギーが疑われる湿しん、アトピー性皮膚炎の汗による悪化などが比較的多く見られていますが、全体としては際立って目立った疾患はありません。

2009/7/21
 小児のウイルス感染症、特に手足口病が数多く見られます。文字通りの典型的なものは少なく、おしりやひざなどに皮疹がみられたり、躯幹に水ぼうそうと区 別のつきにくい皮疹がみられたりします。特に有効な治療法はなく、対症療法になりますが、診断がつきませんと親御さんは不安になりますので早めに医療機関 にご相談ください。
 このところ雨が多く、アウトドアの機会が少ないためか虫さされの患者さんは一時ほど多くはありませんが、乳幼児のあせもは引き続き多く見られています。
 「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」を見て新型水虫菌ではないかと来院された方がぽつぽつ見られ、マスコミ、特にテレビの影響力の大きさを改めて実感しました。

2009/6/15
 少雨の影響もあってか、例年に比べて蒸し暑さが目立たないため皮膚のトラブルが比較的少ない中、小児の虫さされが多くなってきました。
 水虫、汗疱など、夏期に多くみられる手足の皮膚病のほか、(クルミ大程度の丸い紅斑が多発して見られる)貨幣状湿疹が目立ちます。
 アトピー性皮膚炎の汗による悪化は引き続き多く見られています。
感染性の急性発疹症では特に目立ったものはありません。

2009/5/20
 手足に皮膚の症状がみられる方が非常に多くなってきています。水虫を心配されて来院されるケースが目立ちますが、汗疱(かんぽう)などその他の皮膚病の 場合も少なくありません。顕微鏡検査による適切な診断のもと早めの治療を心がけましょう。
 虫さされも多くなりました。特に小児では大きくはれあがることが多く、かきこわすととびひにもなりやすいのでしっかりと薬をつけて早く治しましょう。
 アトピー性皮膚炎の汗による悪化がますます増えてきています。皮膚の乾燥に注意が行きがちですが、汗のケアにも十分心がけてください。
 新型インフルエンザの動向が非常に気になるところですが、少し水ぼうそうがみられた以外には皮膚症状を伴う急性発疹症で特に目立ったものはありません。

2009/4/18
 日中の気温が高くなり、汗によりアトピー性皮膚炎が悪化する方が非常に目立っています。伝染性の疾患など、そのほかではあまり目立った疾患はありません。
 紫外線による皮膚のトラブルや虫さされなどもポツポツ見られるようになりました。これから急増する時期ですので、日焼け止めを塗ったり、露出の少ない服 を着るなどして予防を心がけてください。水虫の悪化で来院される方も少しずつ増えてきておりますが、患部を乾燥させるように心がけて早めに治療を始めま しょう。水虫は診断の誤りや不適切な治療でこじれると長引きますのでお早めに皮膚科専門医にご相談ください。

2009/3/19
 スギ花粉による皮膚のトラブルが目立ちます。目や鼻の花粉症の症状がみられない場合も多いため見落とされがちですがご注意ください。
 汗ばむ機会が増えるのに伴い、アトピー性皮膚炎が急に悪化する方や手足の皮がめくれる汗疱(かんぽう)が多くなりました。日によって寒暖の差が激しく、しもやけも依然みられています。
 アウトドアが増えるとともに皮膚のトラブルも多くなりますので気をつけましょう。

2009/2/3
 水ぼうそうがぽつぽつ見られています。しもやけの方が非常に多くなりました。子どもだけでなく大人でも見られますのでご注意ください。飲み薬やつけ薬で治療しますが、手足の先を温めることやマッサージが予防につながります。
 ご年配の方の乾燥肌ならびにアトピー性皮膚炎の症状が悪化する方が引き続き多く見られています。早めのスキンケアならび治療を心がけてください。

2009/1/12
 全体的に特別な皮膚疾患の流行はありませんが、ご年配の方の乾燥皮膚や下腿に丸い紅斑のみられる貨幣状湿しんが多く見られます。さらにアトピー性皮膚炎 の患者さんが目立つようになりました。症状が急に悪化して来院される方よりも普段のスキンケアやつけ薬で上手に治療を続けていてお薬がなくなってすぐに来 院される方のほうが多くなっています。アトピー性皮膚炎では、症状が落ち着いていて普段の薬の使用量が少ないと受診の間隔は長くなってきますが、いったん ひどくなりかけた時にそのままにしていますとジクジクしたり、全身に広がってきたりしますのでご注意ください。

2008/12/27
 アトピー性皮膚炎の症状が久しぶりに悪化して来院される方が目立ちました。日ごろから治療や保湿などのスキンケアを心がけている方は早めに受診されます ので症状がひどくならないですみます。皮膚の症状がひどくなった場合には強力な治療をしばらく続けなければなりませんので早めの治療を心がけてください。 ご年配の方の乾燥による皮膚のトラブルも引き続き多く見られています。また、頭部のフケの目立つ脂漏性(しろうせい)皮膚炎も増えてきました。
 そのほかには全身性発疹症など、特に目立った疾患はありませんが、じんま疹の方が目につきました。じんま疹ではアレルギーが原因となることは少なく、原 因もなかなか見つかりませんが、寒冷や発汗のほか、風邪をひいたり、過労・ストレスなどで体調をくずしたりすることでもでやすくなりますのでお気をつけく ださい。

2008/11/28
 寒さが厳しくなるにつれて中高年の方の皮膚の乾燥ならびにアトピー性皮膚炎の著明な悪化が目立ってきました。アトピー性皮膚炎は季節によって症状が変わ るのが特徴ですが、急激な症状の変化もしばしば見られます。お早めにスキンケア、治療を行うよう心がけてください。
 そのほかには特に目立った疾患はありません。今後もますます乾燥、冷気をきっかけにした冬の皮膚病が増えてくるものと思われますのでご注意ください。

2008/10/26
 小児でリンゴ病が散見されましたが、全体的に目立った感染症はありません。毛虫皮膚炎が少し見られました。
 涼しくなるにつれてご年配の方の皮膚の乾燥、ならびにアトピー性皮膚炎の悪化が目立ってきました。明らかな湿しんが見られない場合には入浴後にたっぷり と保湿剤を塗ることで発症を防ぐことができます。症状にあわせた治療、季節にあわせたスキンケアを早めに行ってひどくならないようにしましょう。
 全国放送のテレビ番組で頭じらみの特集があり、その反響で心配された親御さんからの問い合わせもありました。頭じらみは決してめずらしいものではなく、 当クリニックでも絶えることなく不定期に見られています。集団感染、家族内感染の問題がありますので少しでも気になる場合にはお早めに皮膚科専門医を受診 されることをお勧めします。

2008/9/24
 小児で一時とびひが目立っていましたが、そのほかの感染症を含めてここのところ目立った皮膚疾患はありません。
 日中は暑さが残るものの、朝夕が涼しくなるのに伴い全体的に皮膚のトラブルは減ってきています。
 これからはアトピー性皮膚炎の悪化やご年配の方の乾燥皮膚などが目立ってくるようになります。乾燥に対するスキンケアを今から少しずつ注意してください。

2008/8/23
 小児ではとびひが目立っていますが、治療が遅れたり、途中で治療をやめたりするとなかなか治りませんのでご注意ください。また、起こり始めはあせもと区別がつきにくいこともあります。
 汗疱(かんぽう)が非常に多く見られています。手足の皮がめくれたり、水ぶくれができたりして水虫を心配されて来院されますが、顕微鏡検査をしても水虫 菌は見つかりません。汗疱は毎年同じ時期になるものの、ほとんどの場合自然に治るのが特徴です。症状だけでは水虫と汗疱は区別がつかないことが多いので、 早めに皮膚科専門医の診察を受けるようにしてください。
 アトピー性皮膚炎の患者さんでは、汗で急激に悪化している方が目立ちます。汗そのものでかゆみが強くなること、この時期チリダニが多いこと、金属アレル ギーの症状が汗で誘発されることなどが一因として挙げられます。ステロイド外用剤による治療とともに汗のスキンケア、悪化因子を見つけ出して取り除くこと を心がけてください。

2008/7/19
 小児では手足口病が見られたほか、あせも、虫刺され、とびひなどが目立つようになりました。
 大人では水虫、紫外線による皮膚障害が多くなりました。汗が影響する皮膚のトラブル(じんましん、湿しんなどを含む)も目立ちます。紫外線対策、汗に対するスキンケアをきちんと行なうようにしてください。
 アトピー性皮膚炎は冬の乾燥する時期に悪くなると思われがちですが、汗でかゆくなりやすく、特に小児ではとびひや水いぼなどの感染症をおこしやすいこと から、夏場にも皮膚の状態は悪くなりがちです。しばらく良くなっていた湿しんがこの時 期急激に悪くなることもありますので早めに治療するように心がけてく ださい。

2008/6/16
 急性発疹症としては小児の水ぼうそうが引き続き見られています。
 毛虫皮膚炎が見られるほか、水虫、汗疱(かんぽう)ともに数多くの患者さんが来院されています。両疾患を見た目だけで判断するのは不可能で、診断を確定 するには顕微鏡検査が必要となります。また、水虫と汗疱が同時に見られるケースもあり注意が必要です。
 アトピー性皮膚炎では改善例の急性増悪が少し目立つようになりました。多くは汗によるかゆみでかきむしってしまい、湿しんが急激に悪くなっています。早 めの治療と同時に症状の悪化の予防のために汗をかいたときにシャワー浴をするか、水でしぼったタオルで汗を軽く拭き取るように心がけてください。

2008/5/18
 急性発疹症としては小児の水ぼうそうが見受けられます。
 先月と比べて疾患の内容はあまり変わりませんが、日光皮膚炎、水虫、汗疱(かんぽう)ともに患者さんの数が日ごとに増えてきています。
 アトピー性皮膚炎では著明な悪化例と改善例にはっきりと分かれています。特に悪化例ではしばらく調子が良かったために治療が遅れがちになっています。かゆみが強くなり始めた時点でお早めに治療を行ってください。
 アウトドアの機会が多くなりますので、紫外線の予防、汗のスキンケア、虫よけやかぶれ予防のための長そでの着用などを心がけてください。

2008/4/27
 急性発疹症としては特に目立ったものはありません。
 紫外線による皮膚炎の患者さんが増えているほか、汗による皮膚のトラブルが目立つようになりました。手足の皮がめくれたり、水ぶくれができたりする汗疱 (かんぽう)が多く見られるようになりましたが、見ただけでは水虫と区別ができないことも 多いので注意が必要です。水虫も少しずつ目立ち始めています。
 アトピー性皮膚炎の著明な悪化例も見られています。皮膚の乾燥によるかゆみが悪化因子としてよく知られていますが、先述の発汗も主な悪化因子のひとつです。汗のスキンケアにも十分気をつけましょう。

2008/3/22
 急性発疹症としては小児の水ぼうそうが見られています。
 全体的には冬の皮膚疾患は終焉を迎えつつあります。スギの飛散が多くなり顔面にスギ皮膚炎が見られるケースも目立っています。皮膚にとっては快適な時期 となっていますが、紫外線による皮膚のトラブルは春先に一番強くあらわれますのでご注意ください。

2008/2/19
 厳しい寒さにともないしもやけが非常に多く見られています。ビタミンEの内服や外用剤での治療を行う必要がありますが、しもやけは春先まで続きますのでご留意ください。
 引き続き乾燥による皮膚のトラブルが多く見られています。高齢者の乾燥性の湿しんのほか、アトピー性皮膚炎の急激な悪化例が目立ちます。いったん症状が しばらくの間治まっていたケースで、症状が少し悪くなりかけたときに保湿剤の外用だけですませたために湿しんをこじらせてしまう例が多くなっています。ア トピー性皮膚炎では一度症状が悪くなってしまいますときちんと治すのに手間と時間がかかりますので、お早めに主治医の指示通りにステロイド外用剤などの適 切な治療を行うように心がけてください。

2008/1/16
 成人では帯状疱疹(たいじょうほうしん)がぽつぽつ見られましたが、小児全般では目立った急性発疹症はありませんでした。伝染性膿痂疹(とびひ)ならび に伝染性軟属腫(水いぼ)が引き続き乾燥肌の幼児のあいだで見られました。乾燥肌のケアを十分に行なうことがこれらの皮膚病の発症、進行を防ぐことにつな がりますのでご留意ください。
 そのほか、乾燥による皮膚のトラブルとして、成人女性の目のまわりの乾燥性の湿しんが多く見られました。症状が段々ひどくなる時や治療をしてもなかなか 治らないときには化粧品やシャンプー、リンス、洗顔石鹸、目薬などによる接触皮膚炎(かぶれ)の可能性が高く、パッチテストによる原因の特定と中止が必要 となります。

2007/12/19
 高齢者の乾燥皮膚、アトピー性皮膚炎の湿しんの悪化が一段と目立つようになりました。急激な症状の悪化にもかかわらず、治療が遅れて重症化している例が 目につきました。一方、寒くなると厚着をする機会が多くなり、意外と汗によっていろいろな皮膚の症状が悪化するケースも少なくありません。
 この時期伝染性軟属腫(水いぼ)で多くの幼児が来院しましたが、乾燥肌やアトピー性皮膚炎が悪化して、そのかゆみのために皮膚をかきむしって水いぼが広 がってしまう例がほとんどです。水いぼはピンセットでひとつずつつまみとって治療しますので、数が多くなると治療をする側される側ともに非常につらいもの です。早めに乾燥肌やアトピー性皮膚炎の治療を行なって、水いぼがひどくならないようにご注意ください。

2007/11/20
 ここのところ寒さが厳しくなるにつれて、皮膚の乾燥によるトラブルが目立つようになりました。高齢者の乾皮症のほか、アトピー性皮膚炎の湿しんの悪化が多くなりました。
 感染性の皮膚疾患では特に目立ったものはありません。この時期、乾燥に伴い足の裏がガサガサになる方が多くなりますが、一年中足の裏がガサガサしている方は角化性の水虫の可能性がありますので一度皮膚科専門医を受診してみてください。
 ステロイドの外用を長い間続けているのにもかかわらず湿しんがなかなか良くならない方は、この時期一度パッチテストを行なって原因検索をしてみてはいかがでしょうか。

2007/10/6
 一時期見られていた毛虫皮膚炎や小児のとびひも目立たなくなりました。
 感染症を含めて特に目立った疾患はありませんが、朝夕が涼しくなるのにともなって少しずつ皮膚の乾燥によるトラブルが見られるようになりました。この時 期アトピー性皮膚炎では汗による悪化に代わって乾燥による悪化が目立つようになりますのでご注意ください。一度湿しんがひどくなると強いステロイド剤の外 用が必要になりますので、皮膚の乾燥が少しでも見られるようになった場合には保湿剤によるスキンケアを早めに始めてください。

2007/9/8
 夏の皮膚疾患が勢ぞろいしていた時期に比べると全体的に落ちついてきています。
 運動会シーズンに伴う紫外線、汗による皮膚のトラブルが見られるほか、毛虫皮膚炎が少し目立つようになりました。
 特に目立つ感染症はありませんが、アトピー性皮膚炎では湿しんの急激な悪化に伴って単純ヘルペスの重症型であるカポジ水痘様発疹症を合併する例が見られ ています。湿しんのひっかき傷とカポジ水痘様発疹症の早期の皮疹を区別するのは難しく、湿しんの治療を漫然と続けていると単純ヘルペスの症状が悪化します のでご注意ください。

2007/8/4
 特に目立った全身性の急性発疹症はありませんが、小児のとびひが多く見られています。とびひも早期の治療が早期の治癒につながりますのでご留意ください。
 厳しい暑さとともに汗による皮膚のトラブルが一層目立つようになりました。あせものほか、水虫やアトピー性皮膚炎の悪化、金属アレルギーの 発症(金属アクセサリーのかぶれ etc.)などが非常に多く見られています。
 小児の虫さされも多く、腫れあがったり、引っ掻きすぎてとびひになったりするケースも見受けられます。市販の虫さされの薬は効果の弱いものが多く、症状 の強い例ではなかなか治りませんので、お早めに皮膚科専門医を受診して適切な薬で治療するように心がけてください。

2007/7/1
 小児の水ぼうそう、成人のパルボB19ウイルス(小児のリンゴ病の原因ウイルス)感染症などが見られましたが、目立った動きはありません。
 汗による皮膚のトラブルが非常に目立っています。幼小児のあせもとともに水虫の悪化が目立ちます。ところで、手に水ぶくれができたり、皮がめくれたとい うことで受診される方が非常に多くなりました。水虫を心配されて受診されるケースがほとんどですが、足に症状の見られない方、今までにも同じ症状が出たこ とのある方はたいていの場合汗疱(かんぽう)です。お早めに皮膚科専門医を受診されて診察を受けられることをお勧めします。
 アトピー性皮膚炎でも汗で悪化している人が非常に目立ちます。汗が直接かゆみを引き起こすほか、金属アレルギーのあるケースでは汗によって症状がひどくなりますのでご注意ください。
 小児の虫さされが目立つようになりました。大人と異なり赤く腫れあがることが多く、放っておくとかゆみから掻きこわしてとびひの原因となることも少なくありません。早めに強めのステロイド剤を外用して治すように心がけましょう。

2007/6/13
 小児の水ぼうそう、リンゴ病がぽつぽつ見られました。プールの季節も近づいて水いぼの治療に来院する子どもが増えてきました。毛虫皮膚炎も見られましたが、大流行はしていません。
 ここのところ手足の皮膚のトラブルが非常に目立ちます。皮がめくれたり、水ぶくれができたりしていますが、ほとんどの場合水虫か汗疱(かんぽう)のいず れかです。症状だけでは完全に区別できません。診断には真菌要素の顕微鏡検査が必要ですので、自己判断で勝手に薬をつけたりせずに、お早めに皮膚科専門医 を受診してみてください。
 アトピー性皮膚炎は汗で悪化している人が目立ちます。多くの例では当初は少しだけ症状が悪化しているだけですが、手元に薬がなくて放置している間に急激に悪化してきますのでご注意ください。

2007/5/19
 小児の水ぼうそうが見られましたが、特に目立った急性発疹症(感染症)はありません。
 紫外線での皮膚のトラブル、水虫の悪化、毛虫皮膚炎など季節がらいろいろな皮膚病の方が見られるようになりました。
 アトピー性皮膚炎は症状の落ちついている方と急激に悪化している方とに分かれています。この時期症状の悪化する方は汗が悪化因子となっていることが多い ので、一般的な保湿のスキンケア以外にも汗をシャワーで流したり、濡れタオルで軽くふきとったりするなどのスキンケアも同時に必要です。

2007/4/5
 小児の水ぼうそう、リンゴ病(伝染性紅斑)が少し目立ちました。皮膚の症状、臨床経過には個人差があり、見逃されることがありますのでご注意ください。
 冬に戻ったような寒い日があるせいか、湿しんの悪化する人が目立ちました。アトピー性皮膚炎やご年配の方の乾燥肌などのほか、貨幣状湿しんが特に多く見 られました。貨幣状湿しんは円形~楕円形の紅斑が見られますが、ステロイド剤の外用をきちんとしないと長びきます。そのため、特にたむしを心配されて受診 される方が目立ちました。
 顔面の紅斑が女性で特に目立ちましたが、原因に心当たりのない方が多く見られました。スギ花粉、紫外線、化粧品、洗浄剤、外用剤など、悪化因子の候補は  数多く挙げられますが、同じものが皮膚に触れても汗、乾燥、ストレス、体調不良、感染症などがあるかないかで、症状がでたりでなかったりします。ほとんど の場合、原因不明のまま自然に治ることが多いのですが、毎年繰り返し見られる場合には一度生活日誌をつけてみて状況から原因を探るか、パッチテストをして みる必要があります。

2007/3/11
 顔面のかゆみ、赤みで来院される方が目立ちますが、この時期スギ花粉の飛散によるものが多く見られますのでご注意ください。外用剤の治療だけで症状が改善しない場合にはマスクなどで保護したり、帰宅時に洗い流したりすることが必要です。
 寒暖の差など時候によるものか、症状が落ち着いていたために治療、スキンケアがきちんとできていなかったためかはっきりしませんが、アトピー性皮膚炎の悪化する方が見受けられます。
 水ぼうそうのほか、パルボB19ウイルス感染症が疑われた例、ウイルス感染が原因とされるジベルばら色粃糠疹などが散見されました。ウイルス感染症のう ちほとんどのものは効く薬がなく、体症療法や経過観察だけで自然に治りますが、病気の見きわめや治るまでの見通しを知っておくことも必要です。そこで、突 然外因もなく左右対称に皮膚症状が見られたときはウイルス感染症の可能性がありますのでお早めに皮膚科専門医にご相談ください。

2007/2/18
 例年より暖かいこともあり、冬に多くみられる疾患も比較的少なく目立った動きはありません。
 乳幼児のアトピー性皮膚炎では、空気の乾燥や日常の生活習慣(汗の放置、入浴時の洗いすぎ、こすりすぎ、石けん、シャンプーの使いすぎ、すすぎ不足な ど)に伴い症状が悪化することが多いものの食物アレルギーによる悪化が見落とされがちです。治療をきちんと行なってもなかなか症状が改善しない場合には食 物アレルギーがあるかどうかを一度は調べてみる必要があります。ただし、きちんと治療ができていない場合、経過から食物アレルギーの可能性が低い場合には その必要はありません。

2007/1/20
 しもやけの方が少しずつ増えてきています。例年に比べると暖かいため患者さんはそれほど多くはありませんが、症状が強いときには水ぶくれができることもありますのでご留意ください。
 リンゴ病(伝染性紅斑)が散見されています。ほっぺたが赤くなるほか、腕や太ももに紅斑が見られるのが特徴です。
 ご年配の方では乾燥肌がひどくなっているケースが目立ちます。ガサガサ状態が続きますと湿しんに変わりますので早めのスキンケア、治療が必要です。アト ピー性皮膚炎の方では保湿剤によるスキンケアをしっかり続けて良い状態を保っているケースと治療を中断して急激に悪化してしまっているケースとに分かれて います。また小児のアトピーでは湿しんを掻きこわすことでみずいぼが急激に拡がるケースも見られ、早めに湿しんを治療すること、普段の乾燥肌に対するスキ ンケアの継続が非常に大事です。

2006/12/6
 アトピー性皮膚炎、ご高齢の方の乾燥肌の悪化が目立つようになりました。特にアトピー性皮膚炎の患者さんにおいては湿しんと乾燥肌の区別がきちんとされ ていないことがありますので、痒みが強いときにはお早めに皮膚科医を受診されることをおすすめします。
 リンゴ病(伝染性紅斑)が散見されています。潜伏期間が2~3週間前後と比較的長く、大人と小児では症状が異なることが多いのが特徴です。ご注意ください。
 厳しい寒さの訪れとともに足元を暖める機会が多くなり、水虫の悪化するケースも見受けられます。水虫の原因である白癬(はくせん)菌自体は夏場よりも元 気がありませんので治療を根気良く続ければ治りやすくなっていますので根治をめざして治療しましょう。

2006/11/20
 皮膚の乾燥による皮膚のトラブルが目立つようになりました。ご高齢の方の乾皮症、アトピー性皮膚炎の悪化などが多く見られています。乾燥症状は突然見ら れるようになることもめずらしくありません。入浴時の洗いすぎ、石けんの影響、衣類、洗剤の刺激などが誘因となりますのでご注意ください。しもやけの方も 見られるようになりました。
 小児ではアトピー性皮膚炎の悪化にともないとびひや水いぼが見られるケースもあります。早めに湿しんや乾燥肌の治療を行なうことでこれらの感染を未然に防げる場合もありますので早期の治療を心がけてください。
 水虫は下火になっていますが、この時期にしっかりと治療をすることで症状の改善、治癒が望めます。治らないとあきらめている方、夏場に治療が十分にできていない方は今一度治療をしてみましょう。

2006/10/20
 アトピー性皮膚炎では、症状の落ち着いていた方で時候の移り変わりとともに悪化するケースが目立つようになりました。ひどくならないうちに早めの治療を 心がけてください。保湿剤をしっかりと正しく使用することが症状悪化の予防にもなります。ただし一旦症状が悪化してしまいますと、適切な治療を行なわずに 保湿剤だけを使い続けた場合症状はさらにひどくなりますのでご注意ください。
 ここのところ再び毛虫によるものと思われる皮膚炎が見られています。
 感染性の皮膚疾患で特に目立っているものはありません。

2006/9/23
 ここのところ特に目立つ皮膚疾患はありませんが、毛虫によるものと思われる皮膚炎が見られます。
 アトピー性皮膚炎では季節の変わり目で少し症状が目立ち始めた方もいらっしゃいますが、全体的には落ち着いています。
 昼夜の温度差を除いては過ごしやすい時期で、皮膚にとっても調子の良い時期です。季節の移ろいとともに皮膚のトラブルも多くなってきますので、これからは乾燥に対するスキンケアを心がけてください。
 尚、水虫についてはかゆみを含めて皮膚の症状は下火になってきますが、完治していないケースが多く見られます。途中で治療を止めますと必ず再発・悪化しますので、この時期こそ治療を続けてしっかり治すようにしてください。

2006/8/24
 引き続き子どものとびひが多く見られています。一度きれいに治ってからも再発することも多く、治療を途中で止めてしまいますと多くの場合元に戻ってしま います。治るまではきちんと治療しましょう。虫さされも相変わらず目立ちますが、本人に覚えのないことも多いようです。皮膚の症状だけで虫を特定すること は困難で、皮疹の見られる部位や症状の経過などから推測するしかありません。
 アトピー性皮膚炎では症状の落ち着いている方と汗のために悪化を繰り返している方とに分かれています。
 手足の汗疱(かんぽう)も多く見られます。多くの方が水虫を心配して来院されますが、短期間で広範囲に症状が見られることが特徴です。数か月くらいで一 旦は自然に治りますが、多くの場合再発を繰り返します。対症療法が主体となりますが、金属アレルギーの見られるケースでは触るものや食事などにいろいろ注 意が必要です。水虫もこの時期多く見られますし、汗疱と同時に見られることもめずらしくありません。手足の皮膚に少しでも変化がある場合には早めに皮膚科 で診てもらうようにしてください。

2006/7/22
 子どものとびひが多くなりました。虫さされのあとをかきむしって広がることが多いので気をつけましょう。プールの季節になって水いぼの治療に来院する子どもも増えています。水虫も非常に多くなりました。
 アトピー性皮膚炎を含め、汗によって湿しんが悪くなっている例が目立ちます。前回の金属アレルギーのほか、あせもやじんましんなど汗が原因の皮膚のトラ ブルは多いので汗をかいたときにはシャワーで洗い流すか、濡れタオルで軽く拭いてから乾いたタオルで押さえるようにして乾かすかしてきちんとケアをしま しょう。
 無防備に長時間強い日差しにあたって皮膚が真赤になって来られる方も見られるようになりました。日焼けで一度皮膚が赤くなると痛みも強く、ひどい場合に はやけどと変わりありません。一皮めくれるまですぐには治りませんので十分に紫外線対策をしてください。帽子、日傘や服で肌を覆うほか、露光部には日焼け 止めをしっかり塗るようにしてください。2、3時間毎の塗りなおし、一度に十分な量を塗るようにご留意ください。

2006/6/24
 子どものとびひが見られるようになりました。接触感染で広がりますので、早めの治療で症状が悪化しないようにするほか、まわりの子どもにうつらないようにすることが大事です。
 毛虫皮膚炎も引き続き見られています。また、時候とともに水虫の方が多く見られるようになりました。
 ここのところ多く見られるのは金属アレルギーが疑われる方です。手のひら、足の裏に小さな赤いぶつぶつや水ぶくれが見られたり、全身に湿しんが見られた り、下肢に比較的大きめの紅斑がみられたり、くちびるや口の中があれたりします。特徴は、汗をかく時期に症状が強くみられ、冬場には症状がおさまることが 多く、長年にわたり繰り返しみられることです。金属アレルギーは歯科金属の影響や食べ物で症状が悪くなることもあり注意が必要です。患者さんの多くは薬を 塗れば良くなるが完全には治らないと言われます。金属アレルギーの診断は冬場にパッチテストを行なって原因金属をつきとめることで行なわれます。夏場に湿 しんが繰り返し見られる方は一度金属アレルギーを疑ってみてください。

2006/6/5
 毛虫皮膚炎の方が見られるようになりました。直接毛虫に触れなくても特徴的な皮膚症状が見られますのでご注意ください。水虫も多く見られるようになり、 汗疱など汗により悪化する皮膚病も目立ち、皮疹を見ただけでは区別のできないケースもめずらしくありません。水虫の薬を塗っても症状が一向に良くならない 場合には一度顕微鏡検査で真菌要素が見られないことを確認して治療を変更する必要があります。
 アトピー性皮膚炎の患者さんでも発汗により悪化するケースが目だっています。湿しん症状の悪化のほか、大人では単純ヘルペスの悪化する例、小児ではみず いぼの悪化する例が増えています。みずいぼはプールの時期が近づいてきたせいか、治療に訪れる子どもが少し増えてきています。

2006/5/23
 雨の日が多いためアウトドアに伴う皮膚障害は例年ほど目立ちませんが、紫外線による皮膚のトラブルや虫さされが少しずつ増えてきました。水虫の悪化例も 見られています。一方で手のひらの皮がぽろぽろむける汗疱(かんぽう)も多く見られています。水虫か汗疱か区別のつきにくいケースもありますので手のひら や足の裏に症状の見られる方はお早めに皮膚科医を受診してください。
 この時期アトピー性皮膚炎の悪化例が見られますが、かゆみのための掻破による悪化か単純ヘルペス感染症によるものか区別のつきにくい場合があり注意が必要です。みずいぼで来院する子どもも多くなってきました。

2006/3/15
 先月に続き帯状疱疹(たいじょうほうしん)が多く見られ、小児の水ぼうそうも見られています。
 スギ花粉が原因と思われる顔面、特にまぶた周辺の皮膚炎が多く見られています。
 乾燥性の皮膚のトラブルも今しばらく続きそうです。保湿剤によるスキンケアが重要ですが、ひとたび湿しんが見られた場合保湿剤だけを外用していますとかえって症状が悪くなってしまいますので注意が必要です。


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