◯更新しないまま一年近く過ぎてしまいました。なかなか新しい情報の発信を続けるのは難しいので今回は少しつぶやきたいと思います。
◯外来ではいろいろな患者さんを診察する機会があり、すべての患者さんにご満足いただいているわけではありません。こちらの実力不足、対応・接遇の不備などいろいろ至らぬところはありますが、ご理解いただきたい、出来ればこうしていただければありがたいといういくつかのケースをお話させてもらいます。
(1)顔の症状の診察時にフルメイクで受診 メイクで症状がマスクされるため診察、診断することができません。メイクで症状が分からない状況で「何が原因か、何とかして欲しい」と強く求められた場合に、ふと「メイクで症状がよくわかりません。こちらで診させてもらう場合には今回リセットしてゼロからのスタートになるので前医の先生の方が経過をよく診ているのでもう一度行かれた方がいいかもしれません」とお答えする場合もあります。その場でしっかり落としてもらって改めて診察すればよいのですが、特別な症状でなさそうな場合には湿しんを想定して外用剤を処方し、1週間後にノーメイクでの受診を指示して診察を終える場合もあります。たいていの場合再診はなく、元の症状、経過はわかりませんが・・・。できれば診察直前にメイクを落とす、少なくとも症状のある部分だけでもメイクを落として受診していただきますと助かります。
(2)初診(久しぶりの再診)時に薬を指定される 他の皮膚科を受診されていた患者さんが諸般の事情によって当クリニックを受診されますが、その際「この薬をできるだけいっぱい出して欲しい」と言われることがあります。先ず、病院ごとで取り扱いの薬や診療スタイルが異なりますので内容、量に関しては異なります。終了時間ギリギリなどのよほど時間がない状況での受診を除いては、前医があることを問診時にお伝えいただければ、前の病院での薬の内容、使用状況の確認は行ないます。当クリニックでは初診時には1~2週間(あるいは数日)分の薬を処方して、何回か経過をみてからお薬を増やしたり、変えたりします。「この薬をこれだけ出してください」と言われた場合、さらには「前の病院では出してもらっていた」と強く言われた場合には「前の病院でご相談ください」と言ってしまう場合もあります。一方、診察時に症状が確認できない場合や今までの薬の使用で明らかな効果が確認できないにもかかわらず特定の薬を希望されることがあります。特に外用ステロイドや美容目的の保湿剤(ヒルドイド®)の場合には患者さんの希望が強くてもこのようなケースでは処方しておりません。診察中のご様子からもお忙しい中受診いただいている患者さんのご不満は手に取るようにわかりますが、何卒ご了承いただければと思います。
(3)じんましんでアレルギー検査を(保険診療で)希望される じんましん=アレルギーと一般的には思われていますが、実際にはアレルギーが原因のじんましんは1割前後と考えられています。アレルギー検査(血液検査)は血液中にアレルゲンに対する抗体が増えているかどうかを見ているだけで症状の原因を特定するわけではありません。目がかゆくなったり、鼻水が出たりする方やフルーツを食べたらのどがイガイガするなどの症状が出る方は積極的に検査をする必要がありますが、じんましんでは主治医が検査をする必要があると考えた場合にだけ行なうのが一般的です。症状からアレルギーを疑った場合には保険診療でアレルギー検査を行ないますが、アレルギーを疑う症状がないと主治医が考える場合にアレルギー検査をすると全額自己負担での検査となります。テレビなどでよく紹介されるアレルギーの項目をいっぱい調べる検査は自費であれば2万円近くかかります。説明をさせていただいた上で検査をされる方はほとんどおりません。いろいろな皮膚科を受診しても検査をしてもらえないので当クリニックではアレルギー科を標榜していることから、受診すれば検査できるものと思って来られる患者さんも多く、上記の内容をお話した後では患者さんの落胆、憤りのご様子を目の当たりにすることも多いのですが、ご了解いただければと思います。
◯なかなかご説明を理解していただけない場合、時間が押している場合などではその対応に当方に落ち度が少なからずあることは自覚しております。今後改善していきたいと思っております。尚、ご心配、疑問に感じられることはご遠慮なく診察時にお申し付けください。
2017/8/30
◯これまでホームページ上でご案内させていただきましたアトピー勉強会ですが、このたび中止させていただくこととしました。アトピー性皮膚炎についての診療につきましてはこれまで通り変わりなく行っていますので、ご質問、お問い合わせ等はご遠慮なく診察時にお申し出ください。
2016/11/17
◯診察を受けられた後、当日もしくは翌日に問い合わせの電話をいただくことがあります。伝え忘れや聞き忘れによるものは改めてお話すればあまり問題になることはありません。ところが、お薬を塗ったり、飲んだりして症状が悪くなったので、薬が合わないのではないか、どうすればよいかといった問い合わせにはどうすべきか迷うことがあります。電話の情報だけでは症状がわかりませんので基本的には翌日以降再診してもらうのが良いのですが、週末や祝日の前などの場合にはすぐに受診ができない場合もありますし、アトピー性皮膚炎の場合には症状が悪化している場合には皮膚の感染もおこしやすくなっていて、単純ヘルペス感染症であるカポジ水痘様発疹症や細菌感染症であるとびひなどが一緒に起こると湿しんの治療を続けると却って悪化しますのでその時点で見極めをするしかありません。
◯アトピー性皮膚炎に限らず、皮膚症状が軽症ではない場合で、受診後に皮膚症状が悪化したり、高熱など、全身症状を伴う変化が出たりした場合の問い合わせには特に苦慮します。時間があれば再診してもらい、症状の見極め、治療を再検討した上で必要であれば基幹病院皮膚科や小児科に紹介させていただきます。週末など時間の余裕がない場合には電話の情報から全身症状が皮膚と関係がないと考えられる場合には小児科をそのまま受診してもらうこともあります。
◯症状が良くならない(特に重症、急激に悪化する)場合には、時間や費用などの関係から電話問い合わせで済ませたり、転医したりするというお気持ちもわからないこともありませんが、月曜日から金曜日までの朝一番の時間に再診されれば必要に応じて午前中に紹介可能ですのでできる限り最初に診てもらった皮膚科を受診されることをお勧めします。ただし再診時に経過観察に終わる場合もあり、この時点で了解、納得できない場合には転医を考えられた方がよろしいかと思います。その場合にも勝手に転医するよりも基幹病院にセカンドオピニオンを求めて紹介状を書いてもらう方が得策です。尚、症状、状況によっては基幹病院に紹介しかねる場合もありますのでご了解ください。
2016/10/4
◯今回は最終回、(6)(番外編)以前に診てもらっていた皮膚科の待ち時間が長いから薬だけ出して欲しい。 について検証します。特に皮膚科の新患患者さんが多くなる時期にはこのような患者さんが増えてきます。患者さんは新たに診察を希望しているわけでもなく、転医を考えているわけでもありません。今までと同じ薬をできるだけ多く手軽に出して欲しいと思っているだけですが、皮膚科専門医であれば患者さんの申し出を鵜呑みにしてそのまま処方することは先ずありません。医者側としては初診の短時間で症状、経過を十分に把握することは難しいので、一般的な対応は、その時の症状に合わせて必要最低限の薬を出して経過を観ていくことです。以前の薬よりも弱い薬が処方されれば症状は当然悪くなりますし、多くの場合短期的には症状は悪化しがちです。長い期間診てもらっている皮膚科(専門医)であれば、待ち時間がたとえ長くてもいろいろな点から引き続き受診されることをお勧めします。
2016/7/3
◯今回は(5)説明をしてくれない(話を聞いてくれない)。 を検証します。医師の「説明がない」ケースでは主に以下の三つの要因が考えられます。①症状が軽い、もしくは経過が順調で説明を詳しくする必要性を医師があまり感じていない。②過去に患者さん(親御さん)に十分な説明をしたことがある、もしくはいろいろ説明をしたが、聞き入れてもらえなかったことがある。③患者さんが多くて説明をする十分な時間がない。
◯先ず①についてですが、医師側から見ると初診時には重症例や治療歴の長い方、再診時には症状が良くならないとき、特に悪化したときには十分に時間をかけて患者さんに説明していく必要があります。一方で、初診時における軽症例や再診時において治療経過が順調な場合には診察の時間は短くなりがちです。しかし、患者さんにとっては症状の軽重にかかわらず症状の推移、今後の見通しなど、具体的な説明がないと心配になるのも当然かと思われます。
◯次に②についてですが、一度十分に時間をかけて説明をしたことのある患者さんについてはカルテに記録がありますので、再度同じように説明をすることはあまりありません。ステロイド忌避の患者さんに対してはステロイドを使うにあたり一度はステロイドの概要を説明しますが、繰り返し説明することはありません。というよりも、多くの患者さんは再診されなくなります。また、ステロイド忌避までは行かなくてもステロイドを怖がられる患者さんは未だに大変多く、つけ薬の塗り方が不十分で良くならないケースもしばしばです。このようなケースではステロイドの外用についてきちんと塗るように同じ説明を繰り返すしかありませんが、指導が守られないのが続きますと説明も段々と減ってくるようになります。受診間隔が相当に空いているケースで、特に前回の診察時に症状が目立っていた場合には、セカンドオピニオンで他医を受診していたのか、つけ薬をきちんと塗っていて一時は調子が良かったが、つけ薬がなくなってから再び悪くなったのか、十分に治療を続けなかったために一度も良くならなかったのか、患者さんに説明していただかないと分かりませんので医師の方から改めて説明をすることはありません。
◯最後に③についてですが、これはどうしようもないかもしれません。限られた診療時間内ではすべての患者さんに十分に時間をかけて説明をすることはできません。患者さんの症状、治療経過、キャラクターによって説明の仕方は変わってきます。①のケースであれ、②のケースであれ、患者さんが主治医に説明を求めれば通常主治医はきちんとお答えしますが、患者さんが混み合っている状況ではその場で時間をかけて説明することはなかなかできません。
◯実際には前医がすごく混み合っているという理由で病院を替える患者さんが多く見受けられますが、病院を替えるときにはそれまでの経過、治療歴、検査結果などを後医に詳細に正しく伝えないとゼロもしくはマイナスからの治療開始となります。後医に正しく情報が伝わって初めて前医と比べてアドバンテージになります。患者さんが後医にきちんと情報を伝える手間暇や後医での治療開始当初は症状が悪化する可能性が少なからずあることを考えますと前医で治療を続けて、少しでもお手隙の時間にいろいろ質問したり、説明を聞いたりする方が得策かと思われます。皮膚疾患の患者さんが多いシーズンですと病院を替えても多少は混み合うことがありますので、病院を替えようと思われた時には今一度検討されることをお勧めします。
2016/5/27