アトピー便り

アトピー便り143:アレルギー検査について

これまでもアレルギー検査については何度も触れてきましたが、現時点で当クリニックで行なっているアレルギー検査の現況を整理してお伝えします。受診していただく際にご参照ください。

アレルギーが疑われるエピソード、症状が何回も見られて(確認されて)いて、明らかなアレルゲンが想定(特定)できない場合にはスクリーニングでView39(39項目のアレルゲンに対するIgE抗体を調べる血液検査)を検査します。実際にはエピソードや症状が自己申告でデフォルメされている事が多く、検査をする元になる情報には少なからずバイアスがかかっていますのでView39で有意義なアレルゲンが見つかることはあまり多くありません

アトピー性皮膚炎においては、重症の方は初診時に患者さんの同意が得られれば、また当クリニックの通院歴が長いながら、検査を一度も受けたことのない患者さんでご要望があれば、さらには治療をしっかり行なっていても良くならない方で患者さんの同意が得られれば、血液検査(RIST[悪化因子としてアレルギーの程度を調べる]、RAST[悪化因子としてアレルゲンを調べる]、TARC[アトピー性皮膚炎の皮膚症状の重症度を調べる])を行なっています。検査が必要と思われる場合でも実際には同意が得られず検査に至らない患者さんも少なからずいらっしゃいます。
尚、軽症の方、前医(当クリニック)ですでに検査をしている方、治療が十分にできていない方は検査の対象外ですが、再診を重ねる中で必要となった場合には随時検査を行なっています。アトピー性皮膚炎での検査は診断を確定するためではなく、完治に至る道筋となるわけでもありません。あくまで悪化因子の検索、現状把握など治療をサポートするためのものです。この点をご理解いただければと思います。

食物アレルギー、アレルギー性鼻炎においては血液検査は診断に役立ちます。十分に問診を行なって(詳細な情報を元に)診断に必要なものに関して適宜RASTを調べています。特に小麦依存性運動誘発アナフィラキシーは問診でほぼ診断できて、血液検査(RAST:小麦、グルテン、ω-5グリアジン)で確定できますのでRAST検査が必須になります。花粉食物アレルギー症候群も同様で問診と血液検査で大抵の場合診断できます。小児の木の実類アレルギーが最近増加していますが、くるみ、カシューナッツでは(ピーナッツと同様に)血液検査でアレルギーコンポーネントを調べて以前より確度の高い診断ができるようになっています。尚、食物アレルギーではRASTで診断が確定できない(原因食物が陰性になったり、陽性のものが原因食物でなかったりする)ことが多く、しかも調べられる項目は限られています。そこで生の食物を使ってのPrickPrickテストさらには経口負荷試験が必要となりますが、当クリニックでは行なっておりません

難治性の湿しん、かぶれでは原因の特定にはパッチテストが必要でかつては多くの試薬を揃えてパッチテストを積極的に行なっていましたが、現在は行なっておりません。検査試薬が短期間で使用不能となりますので安全性ならびにコスト面を考慮して当クリニックとしては中止せざるを得ない状況となっています。現在はスタンダードシリーズのみ予約制で試薬(パネル)を注文して行なっています

歯科の金属アレルギーのパッチテストの問い合わせは現在もよくありますが、(④と同じ状況により)行なっておりません。④のスタンダードシリーズに金属としては主要アレルゲンのニッケル、クロム、コバルトが入っていますので一般的な金属アレルギーを検査する場合にはスタンダードシリーズだけで問題ありません。歯科の金属アレルギーのみならず、パッチテストについては実施しているかどうかを受診される皮膚科にあらかじめ問い合わせられることをお勧めします。

じんましんの患者さんの中には原因を知りたいということで検査を希望される方が少なからずいらっしゃいますが、発症時の状況でアレルギーを疑わせる出来事がない限り検査はしません慢性に経過しているじんましんの多くは特発性(原因不明:誘発因子は複数あり)で検査は必要ありません(検査で原因は見つかりません)。当クリニックで検査をしていない患者さんが他の病院でRAST検査を受けられて陽性のものが見つかって伝えていただくことがたまにあります。これはじんましんの原因が見つかっているのではなく、アレルギー検査(厳密にはIgE抗体検査)が陽性なだけです。ハウスダストやスギのアレルギーは数多くの人で見られますが、ほとんどのケースでじんましんの原因ではありません。IgE陽性≠アレルギーですし、また多数の項目で陽性所見が見られる場合偽陽性の項目が混じっている事が多いので注意が必要です。

当クリニックはアレルギー科を標榜しているため機械(自動)的にアレルギー検査(View39)を行なっていると思われて受診される方がいらっしゃいますが、行なっていません。患者さんの自己判断でアレルギーと思われていても最低限①のケースに当てはまらなければ(保険適応にならないので)検査していません。それでも検査を希望される場合には健診と同じ扱いになりますので自費(全額自己負担)になることを理解された上でご要望があればView39を検査しています。実際のところ全額自己負担にかかる費用ならびに検査の有効性(意義)を説明しますと多くの方は取りやめています。

アレルギー診療、特に食物アレルギーで診断上最も役に立つものは問診です。患者さんから詳しく(正確に)お話を聞ければ多くの場合(検査をする前に)アレルギーかどうかは判別できますが、検査ありきで受診される方から問診で得られる情報は大抵の場合あまり多くありません。花粉食物アレルギー症候群などで一部は検査(View39)から見つかることもありますが、View39のみでアレルギー症状の原因が見つかることはほとんどありません。先述の小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを始めとして診断に至るほとんどのアレルギーは患者さんからのお話を元にターゲットを絞って検査をして原因が見つかります。些細な情報でも構いませんので診察時には何でもお伝えください。食物アレルギーで受診される方は(食材を含めた)食事の内容ならびに具体的な症状(経過)と前後数時間の行動内容(痛み止めの服用、入浴、運動したかどうかなど)、お気づきのこと(普段と違うこと)を併せてメモしておかれることをお勧めします。複数回症状が出ていればすべて(できるだけ多く)記録しておいてください。
実際に問診でアレルギーが疑われる場合、先述の小麦依存性運動誘発アナフィラキシーのように検査が必須の場合には患者さんからお断りがない限り行なっていますが、そのほかの場合は(先述のアトピー性皮膚炎②と同様)検査をした方がよいと思われても患者さんの同意もしくはご要望がない限りこちらから勝手に検査を行なうことはありません。

(余談)診察(問診)でアレルギーではないと判断されて患者さんがあらかじめ思い描いていたような(保険診療で)検査ができない時にこちらのコミュニケーション力不足によって意思の疎通が上手くいかない(患者さんが怒られる)ことがこれまで多々ありました。これまでに不愉快な思いをされた方、ならびに(コミュニケーション力は劇的には向上しませんので)これからももし同じ状況で不愉快な思いをされることがあれば何卒ご容赦ください。この場を借りてお詫びさせていただきます。

2026/6/5

アトピー便り142:水いぼ治療について

ここのところも水いぼの子どもさんの受診や問い合わせが時々ありますが、当クリニックでは基本的には診察中に親御さんとお話してから治療をどうするか決めています。昔と違って機械的に取ることはありません。年齢、水いぼの数、大きさ、できている部位、発赤の有無、患児のキャラクター、通園・通学施設の環境(水いぼの患児のプール使用の可否;水いぼがあると泳げない施設もあれば、ラッシュガード着用により泳げる施設もあります)などを総合的に判断して治療方針を決めています。数の少ないうちに早く治療した方が早く治るというデータはありますが、大前提として水いぼは必ず自然に治ります。一時的にかなり大きくなったり、数がとてつもなく増えたりすることがありますので、治るまでに何年もかかることも時にはありますが、水いぼが大人まで続くことはありません。
水いぼの治療は大きく分けて主なものは二つ、摘除、経過観察のいずれかです。摘除は文字通りピンセットで摘まんで除くので多くの子どもさんにとってはすごく痛いです。そこでペンレステープⓇという痛み止めのテープが登場しましたが、小さなお子さんはテープを貼ったり、剥がしたりするだけで怖がったり、痛がったりするので実際に効果的かどうか微妙な時もあります。当クリニックでは水いぼの数が少ない場合、子どもさんが痛みに耐えられるとき(もしくは診察終了時間近くでテープを貼付する時間のないとき)はそのまま摘除していますし、痛みに耐えられない子は麻酔テープを貼ってから摘除しています。尚、治療する前に親御さん(ならびに子どもさん)にきちんと説明していますが、子どもさんファーストの親御さんが多く最近は数が少ない場合でも取らないケースが増えています。数が多い場合には基本的には親御さん(ならびに子どもさん)から取って欲しいと言われない限りは経過を観察していますが、どうしても取って欲しいと言われれば麻酔テープを使用しながら適宜(何回かに分けたりしながら)摘除しています。
そこで最近登場したのがワイキャンス外用液Ⓡという(痛みのない)水いぼ治療薬です。相当数の水いぼでないと適応になりませんが、水いぼを早く治したい子どもさん、親御さんには待望の薬かもしれません。水いぼの数が多くて早く治したい子どもさんで、痛みのない治療を希望される時は取り扱っている皮膚科を探してご相談されることをお勧めします。尚、当クリニックでは諸般の事情から取り扱いはありませんのでご了承ください。
ちなみに、水いぼ治療で一番困るのは「かかりつけの皮膚科[で取ってもらえない](が混んでいる)ので、こちらで取ってください」と初診で(その一点のみで)親御さんに一方的に言われる時です。初診で怖がったり、泣きわめいたりする子どもさんを上手に落ち着かせるコミュニケーション力は個人的にありませんので、かかりつけの皮膚科で取ってもらえない場合には(患者さんが多い≒コミュニケーション力の高い)他の皮膚科を、かかりつけの皮膚科が混んでいる場合には時間のある時に再度かかりつけの皮膚科を受診されることをお勧めします。
(余談)一期一会で(怖さや痛みがトラウマになって)子どもさんにただ嫌われるだけなのは人として嫌なものです。かかりつけの皮膚科があるお子さんの親御さんにおかれましてはお含みおきください。

2026/5/1

アトピー便り141:検査結果を有効活用しましょう

スギ飛散のピークは過ぎましたが、まだしばらくの間はヒノキと併せて花粉症の症状は続きます。引き続き治療を続けてください。花粉症の診断は血液検査が重要ですが、花粉皮膚炎の診断は一般的には皮疹の状況・経過から行ないますので、花粉皮膚炎が疑われる方はご面倒ですが診察時には症状の詳細をお伝えいただければと思います。
春の陽気とともにアウトドアの機会が増えますので、紫外線のほか、いろいろな皮膚のトラブルが増えてきます。スキンケア、早めの治療を心がけるようにしましょう。

アレルギー検査やアトピー性皮膚炎での血液検査については当クリニックでは必要に応じて行なっていますが、こちらの受診の前後を問わず他の病院で受けていた検査結果が役に立つことがしばしばあります。検査結果にかかわらず、結果の用紙を受診時に自発的に見せていただくと大変参考になります。古い検査結果の場合には再度検査をすることもありますし、検査結果を受けてさらに検査を追加することもあります。さらには過剰な検査や必要でない検査を控えることにもつながります。なかには検査結果の説明をきちんと受けていない方もいらっしゃいますので、ご要望があればお答えできる範囲で説明させていただきます。アトピー患者さん、アレルギーで受診される方で検査結果をお持ちの場合は自発的に見せていただきますよう重ねてお願いします。

2026/4/3

アトピー便り140:花粉食物アレルギー症候群にご注意を

インフルエンザは少しだけ減少傾向にあるようですが、学級閉鎖もみられていて依然多い状態が続いています(2月26日松山市医師会週間疾患情報参照)。インフルエンザに罹られた方も体調が戻ればアトピー性皮膚炎などの皮膚病に対しても速やかに治療してください。

スギ花粉症の症状の強い患者さんの中にはトマトを食べると口の中に違和感を感じる方がいらっしゃいます。花粉食物アレルギー症候群の典型例ですが、最近スギ、ヒノキの花粉症でもモモ、リンゴ、ウメ、ミカンなどのアレルギーの報告がみられています。スギ花粉症と同じ時期にみられるハンノキ花粉症や、夏のイネ科、秋の雑草による花粉症ではいろいろな花粉食物アレルギー症候群が、スギ花粉症の花粉食物アレルギー症候群と比べてもっと頻繁にみられます。花粉症の方で食物アレルギーの症状が気になる方は花粉症のみられている時期にアレルギーの専門医を受診されることをお勧めします。

アトピー性皮膚炎が悪化しやすい時期ですが、早めの治療をされているのか、(こちらの地方では)暖冬だったせいか、(自然消滅の患者さんもいらっしゃるかもしれませんが)例年ほど大きな動きはありませんでした。スギ花粉が本格的に飛散する時期になりますと顔面の皮疹の悪化、ひいてはアトピー性皮膚炎の全身の皮疹の悪化にもつながります。花粉症の治療、対策も並行して行なうようにしてください。お椿さんの頃は季節外れの暖かさでしたが、不規則な天候の変化は皮膚のトラブル、(スギ花粉の飛散と同じように)アトピー性皮膚炎の急激な悪化にもつながりますのでご注意ください。

(余談)先だってコチニール色素によるアレルギー反応が疑われる患者さんが来院されました。診察当初は顔面の紅斑から通常の洗浄系のもの(洗顔剤、クレンジングなど)によるかぶれを疑っていましたが、顔を中心におこるじんましん様の皮疹からは即時型のアレルギー反応が強く疑われ、何より患者さんの方からコチニール色素含有の化粧品を使っていることを教えてもらいました。現時点では診断を確定する検査がありませんので疑い段階ですが、化粧品の使用中止とソーセージやマカロンなどの赤色の添加物を含む食品を控えることで再発しなければと思っています。

2026/3/5

アトピー便り139:ナッツアレルギーにご注意を

先だって全国版のニュースで水ぼうそうが流行しているのを見ましたが、松山市ではまだ多くはないようです(1月29日時点 松山市医師会週間疾患情報参照)。通常は予防接種で水ぼうそうの症状は軽くなりますので少なからず見逃されているのかもしれません。実際に外来でお子さんの保育園で流行っているとお伺いする機会がありましたので今しばらく注意は必要です。また、一時治まっていたインフルエンザが再流行しています。併せてご注意ください。アトピー患者さんの急激な悪化も引き続きみられています。空気の乾燥、化学繊維の下着、防寒着、花粉、黄砂、ハウスダストなどで落ち着いていた湿しんが一気に悪くなることがありますので症状に合わせた早めの治療を心がけましょう。

ここのところ以前に比べて小児の食物アレルギーを診る機会が減っていたこともあり、食物アレルギーに関してあまり情報をアップデートできていませんでした。かつては卵、小麦、牛乳が代表的なアレルゲンでしたが、最近はくるみ、カシューナッツなどの木の実類のアレルギーが急増しているようです。小児科の先生の間では共通認識としてあるようですが、皮膚科の方でもこれから診る機会が増えてくるのではないかと思います。実際のところこの何年かを振り返ってみると、木の実類のアレルギーの子どもさんを散発的に何度か診る機会がありました。

2026/2/5


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