〇暑くなるのにつれて日光、汗による皮膚のトラブルが目立つようになりました。アトピー性皮膚炎、金属アレルギー(かぶれ)は汗が悪化因子になりますのでご注意ください。
〇患者さんのかゆみの訴えが非常に強いものの、診察時には皮膚の変化は乏しくて、掻き痕がわずかに見られるだけのケースがしばしば見られます。このような場合には、掻き痕の一部は湿しんになっていることが多いので通常はステロイド外用剤を処方して経過を観ます。患者さんの多くはお薬を塗ると治るので付け薬を続けて処方して欲しいということで再診されますが、掻き痕は相変わらずで実際はあまり良くなっていません。このようなケースで最も疑われる疾患はじんましんです。典型的なじんましんであれば受診時に皮疹が見られなくても、皮疹がみられた時にスマホに皮疹の写真を撮って持ってきていただければ比較的簡単に診断できます。一方で、軽症のじんましんでは症状が目立たないために患者さんの多くは皮疹そのものを自覚されていません。そのために外用剤だけ塗っていて症状がくすぶっているケースが目立ちます。塗り薬を塗った後に症状がなくなりますので患者さんは塗り薬が効いていると思いがちです。実際のところはじんましんは塗り薬と関係なく、皮疹自体は時間が経てば一旦消えますが、再発を繰り返します。適切な治療はステロイド外用剤ではなく、抗ヒスタミン薬の内服になります。患者さんにこれらを説明しても受け入れられない(付け薬だけで良いと言われる)こともよくありますが、通常は診断学的治療として抗ヒスタミン薬の内服を試します。じんましんの治療は症状にあわせて内服薬の継続が必要で、長期にわたって内服を続けるケースも珍しくありません。そのため「飲み薬は効かなかった」と言われて再診される患者さんの中には、お薬は効いていながら飲むのを止めて再発している方が混じっていますので注意が必要です。
〇(蛇足)たまたま最近遭遇したケースですが、今まで内科でじんましんの薬をもらっていて、そこが閉院するので引き続き薬を処方して欲しいとのことでした。前医と同じ抗ヒスタミン内服薬を処方しようとしましたが、一緒に外用剤(クロタミトン含有)を処方して欲しいと言われました。皮膚科的には疾患としても、現在の皮疹の状況からしても不要でしたので処方をお断りした上で、どうしても同じ外用剤が欲しいなら薬局で購入可能な旨をお伝えしたところ、即座にキャンセルして帰られました。ひっかき傷(湿しん)が確認できればステロイド外用剤を処方しますが、じんましんの症状だけで外用剤を処方することは通常はありません。
2024/6/2