アトピー便り

アトピー便り97:新しい治療薬

近年アトピー性皮膚炎(以後AD)の治療薬として注射薬としてはデュピクセント®、内服薬としてはオルミエント®、サイバインコ®、リンヴォック®が次々と発売され、中等症以上の患者さんで劇的に効果が表れてADの治療の新時代の到来などと言われています。これらに共通するのは炎症をおさえる以外に、強い痒みをおさえる作用があること、ステロイド外用剤と違って皮膚のバリア機能を保つ働きがあることです。当クリニックでも使用の対象となる患者さんが少なからずいらっしゃいますが、当クリニックではこれらの薬剤を扱っておりませんので、その使用に当たっては基幹病院へ紹介させていただいております。重症の患者さんで説明をさせていただく機会があるのですが、薬剤費があまりにも高いこと、受診・治療の継続性などの観点などから実際に紹介に至る例はあまりありません。ステロイド外用剤の使用がなくなるわけではなく、併用となりますすが、通常は確実にステロイドの使用量は減りながら症状も劇的に改善しますので、症状の強い方でこれらの治療が気になる方は診察時にご相談ください。
一方、軽症のADの治療薬として、また重症のADの患者さんが症状が良くなってから症状を維持するのに以前からプロトピック®軟膏が使用されていますが、数年前からはコレクチム軟膏®が、今月からはモイゼルト軟膏®が使用できるようになりました。症状の強い方はステロイド外用剤が治療の中心となりますが、軽症例、ステロイド外用剤で皮疹が良くなってから、顔面・頸部の皮疹に対してはこれらの外用剤を上手に使用することが大事です。これらの外用剤はステロイドでないこともあり、特に子どものADは比較的軽症の方が多いので、今後はプロトピック軟膏と同様にコレクチム軟膏、モイゼルト軟膏の出番が多くなるものと思われます。3剤とも大人用と子ども用に分かれていますので使用の際はご注意ください。尚、ADの治療では症状や部位によって外用剤の使い分けをすることが必要となりますので診察時に主治医に外用指導をしていただくことをお勧めします。

2022/6/27

 


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