アトピー便り

アトピー便り77:検査しませんか?

普段は患者さんの方から「検査してもらえませんか?」と言われることが多いのですが、反対にこちらから「検査しませんか?」と患者さんにお話することもあります。アトピー性皮膚炎の患者さんでは、経過が長いけど一度も検査をしたことのない方、きちんと治療をしているけど症状の改善があまり見られない方、初診時でも症状がかなりひどい方が当てはまります。その他には、湿しんが長く続いていて、特定の経過をくりかえしているためかぶれ(接触皮膚炎)が強く疑われる場合に、根治目的の原因検索のために「パッチテストをしませんか?」とお話することがありますし、花粉症もしくは食物アレルギーを心配されて受診された患者さんで原因がいくつかあって特定できない場合や、問診から花粉-食物アレルギー症候群の可能性が高い場合には「血液検査をして調べてみませんか?」とお伺いすることもあります。
尚、「アレルギー検査をしてください」と外来で最も多く言われるのは(食物アレルギーと関係のない)じんましんの患者さんからですが、アレルギー性のじんましんはじんましん全体の数%にすぎないこと、陽性に出たアレルゲンはアレルギー性鼻炎の原因やアトピー性皮膚炎の悪化因子であっても、じんましんの原因となることは非常にまれであることからじんましんの患者さんに「検査しませんか?」とお話することは通常はありません。症状や経過から食物アレルギーが疑われる場合のほか、食物依存性運動誘発アナフィラキシーやラテックスアレルギーが疑われるじんましんの患者さんにはこちらから「検査しませんか?」とお話しています。
小児に血液検査を行なう場合には採血時の痛みや恐怖心のために躊躇される親御さんもいらっしゃいますし、パッチテストでは三日間入浴できないこと、二日後、三日後に受診していただかないといけないため、その面倒さからなかなか実施には至りません。また、検査代が高額ではないかと心配されて遠慮されるケースもあります。
乳幼児のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーで検査が必要と思われるケースの多くではすでに小児科で検査を受けていることが多いので、そのデータを参照させていただいています。小児では喫緊に検査が必要と思われる場合を除いては2,3歳を過ぎてくらいから血液検査を行なうようにしています。パッチテストに関しては患者さんのスケジュールをお伺いして実施可能なケースに限り行なっています。検査代については保険診療であれば3割のご負担までに収まりますので、極端に高くなることは通常はありません。検査を行なう前に遠慮なくご質問いただければ具体的にお支払いしていただく料金をお伝えしますので、料金を確認してから検査を止められても全く問題ありません。「検査しませんか?」と主治医に聞かれた場合には、必要があって保険診療で行ないますので是非とも前向きにご検討いただければと思います。

2019/4/11


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