〇アトピー性皮膚炎の治療はステロイド剤の外用や保湿剤でのスキンケアなど、つけ薬が中心となりますが、一回にどの程度塗るか、どのくらい塗り続けるか、場所や症状によってどのように塗り分けするのか、など必要に応じて診察時に説明させてもらっています。FTU(フィンガーチップユニット)は一回に塗る外用剤の量の目安で、チューブの薬をおとなの人差し指の第1関節分の長さ(=1フィンガーチップユニット)を出して、おとなの手のひらの面積2枚分を塗ると丁度よいというものです。
〇軽症のアトピーではここまで塗らなくてもよい場合がほとんどですが、中等症~重症の場合やすでに不十分な治療をだらだらと続けている場合には一度しっかりとFTUに従って外用剤を塗る必要があります。アトピー性皮膚炎では症状の目立つところだけつけ薬を塗っていますとモグラたたきのように塗っていないところから症状が出てくることが多いので、全体にしっかり塗る必要があります。この塗り方で全身にもれなくつけ薬を塗った場合、6カ月の赤ちゃんでは1回に塗る量が約4g(8&1/2FTU)、2歳児では約7g(13&1/2FTU)、5歳児では約9g(18FTU)、成人では約20g(40&1/2FTU)となり、かなりの量になることがわかります。尚、これは日本皮膚科学会、日本アレルギー学会共通のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018にも明記されています。
〇初診時にはFTUの説明をすべての患者さんにするわけではありませんので、数か月以上経ってから「全然良くなりませんでした」と再診されるケースが後を絶ちません。症状が良くならないときには1~2週間後に再診していただければ、当クリニックでは実際に行なっていた外用療法と症状の推移とを照らし合わせてFTUを含めて外用療法の正しいやり方を詳細に説明させていただいています。
2019/3/2