京都大学皮膚科の研究グループが皮膚表面の保護機能を高める「フィラグリン」というタンパク質を増やし、アトピー性皮膚炎の症状を改善させる人工合成化合物を発見したというニュースが少し前になりますが連日ニュースで大きく報道されていました。
現在のアトピー性皮膚炎の一般的な治療は、対症的にステロイド剤の外用で湿しんという皮膚の炎症を鎮めながら、乾燥肌という皮膚のバリア異常を保湿剤で改善していくことです。もちろん悪化因子の検索、除去も必要に応じて行なう必要があります。
アトピー性皮膚炎の成因として、先の「フィラグリン」タンパク質の皮膚表面での減少による皮膚のバリア異常からアレルゲンの侵入によって症状が進展していくということが挙げられています。
近い将来この人工合成化合物の研究が進んで、薬としてアトピー性皮膚炎の治療に使うことができるようになれば、湿しんの重症化やアレルギーの進展を防ぐことにつながるものと思われます。ステロイド外用剤の使用量を大幅に減らすことができれば、ステロイド忌避の患者さんや親御さんにとっても福音となる薬になるかもしれません。その日が来るまでは正しくステロイドを使ってアトピー性皮膚炎を上手にコントロールしていきましょう。
2013/10/14