アトピー便り

アトピー便り39:水いぼ とるの?とらないの!

 以前から水いぼ(伝染性軟属腫)を治療するかどうかで医師の間で対応が異なっており、子どものお母さん方から戸惑いのお声をいただくことがありました。プールの時期にとるか、とらないかでいつも問題となっていました。
 平成25年5月に日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会の統一見解として、「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。・・・」と発表されました。平成24年4月の時点では同じ両学会の統一見解は、「プールの水ではうつりませんが、肌と肌が触れあうことでうつりますので、おおぜいでプールに入ると感染の可能性が大きくなります。露出する部位のみずいぼは、治療をしてとっておきましょう。・・・」となっていましたので、文面だけをとれば水いぼはとらなくてもよくなったと思いましたし、実際の外来でもそのように伝えていました。治療をしなくても水いぼは最終的には治りますし、子どものあいだではプール以外でうつる機会も多いことからプールを禁止する意味もないのだろうと思っていました。
 この連休中に日本小児皮膚科学会で水いぼの治療をテーマにしたセミナーがあり、聴講してきました。講師が皮膚科医だけだったということもあり、水いぼを治療するのは当然であり、スピール膏を使ったり、処置の前に痛み止めのペンレステープを使ったりして、痛みをなくすための方策を工夫しているということでした。プールに入るのは構わないが、皮膚科医としては当然治療をしなければならないと重ねて強調されていました。原則的には水いぼはすべて取るべきという内容でした。統一見解は変わったものの、皮膚科医としての治療のスタンス、考え方は以前と何も変わっていませんでした。
 そのセミナーでは統一見解が変わった経緯が何も説明されませんでしたので(聞きもらしたのかもしれませんが)、皮膚科、小児科を問わず治療に対して消極的な医師も多いので、その他諸般の事情を含めて治療に対して積極派、消極派いずれにも配慮した玉虫色の結論を出したのかなと勝手に想像しました(間違っていたらすみません)。

2013/7/16


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