最近授乳中のアトピーの子ども二人で大豆のアレルギーがたまたま続けざまに見つかりました。食物アレルギーの検査としてはプリックテストを行ない、数十分後に判定します。いずれもそのときの結果は卵白は陽性に出ていたのですが、大豆には陽性反応は出ていませんでした。そのため母親に対して卵の摂取に対しては注意をしていたのですが、治療を続けていても症状があまりよくならず、ふと先日行ったプリックテストの部位を診てみると大豆の検査のところに反応が残っていました。そこで、母親に大豆の制限をしてもらったところ症状は著明に改善しました。これまでも時々卵アレルギーが検査でひっかかりながら、卵の制限をしても症状があまり変わらない子どもを経験したことがあり、もしかするとこのようなケースを見逃していたのかもしれません。(もちろん検査で卵白陽性でも実際に卵を食べてみても症状の出ないこともありますが・・・)
食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎で原因となるのは圧倒的に卵が多く、プリックテストにせよ、血液検査にせよ、検査で調べるのは即時型反応で、今回のような遅れて起こる湿しんの反応はプリックテストのあとを注意深く見ていないと見過ごしてしまいます。今までにも卵についてはこのような遅れて出る反応を複数例経験しており、注意をしてきましたが、大豆で今回2例続いたことはとても意義深いことでした。
大豆の遅れて出る反応というのは食物アレルギーの意味合いよりも金属アレルギーの要素が強く疑われます。大豆にはニッケルが多く含まれており、ニッケルが原因の金属アレルギーは遅れて起こります。プリックテストというのは皮膚を傷つけてから検査液をつけて調べますが、これはアトピーで皮膚を引っかいた状態で食べ物が皮膚にくっつくのと同じ状態です。
卵アレルギーがありますと卵を食べた直後にしばしば口の周りがかゆくなりますので、そうした時にそこを引っかいてしまって、皮膚が荒れた状態でチョコレートやスナック菓子などの大豆を含む食品を食べる(よりも皮膚にくっつく)ことによってニッケルの金属アレルギーが引き起こされてきたのではないかと考えられます。
ニッケルアレルギーはかぶれの原因として最も多いもののひとつで、大人では装飾品によって引き起こされることが多いとされています。子どもでも砂遊びなどで起こることがあり、砂遊びについては診察中によく確認します。今回の一連のケースから子どもの手の湿しんがなかなか治らない場合には、スナック菓子の袋に手を突っ込んで起こるニッケルによるかぶれもあるのではないかと思うようになりました。
乳幼児の口周りの湿しんがなかなか治らない場合、砂遊びをしないのに手の湿しんがひどい場合にはニッケルアレルギーを調べてみる必要があるかと思われます。尚、ニッケルアレルギーを調べるパッチテストは検査をすることでアレルギーになることがありますので必要最低限に行なうことが大事です。
2013/4/12