今から20年くらい前には食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎の治療において皮膚科では食事制限をしなくても自然に食物アレルギーは治るから皮膚の治療だけで良いといった考えが主流でしたが、小児科ではきちんと食事制限をする必要があるという考えが中心でした。
時は流れて最近では皮膚科、小児科ともまずスキンケアを含めた皮膚の治療を行なって、十分な効果が得られない場合に必要に応じて最低限の食事制限を行なうというコンセンサスのもとで治療をしています。
ところが、最近一部の小児科で行なわれている免疫療法は少しずつアレルギーの原因となる食物を食べさせて食物アレルギーを改善させるというやり方ですが、これはとりもなおさず昔の皮膚科のやり方を理論的に進めたものではないかと思います。食物アレルギーは軽症から重症に至るまで幅広く、実際の免疫療法は即時型の重症例が中心でアトピー性皮膚炎のみで対象となることはあまりありませんが少し感慨深く感じています。
2012/7/25